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名古屋コーチンを日本から世界へ|鳥インフルエンザと闘う養鶏家の苦労と誇り

名古屋コーチンは、日本で流通している食用地鶏で唯一の純系種です。純粋種を守るため、そして名古屋コーチンの魅力を伝えるため、養鶏家はたくさんの工夫をしています。

今回は名古屋コーチンを生産する養鶏家の生活と、鳥インフルエンザからの再起を誓う養鶏家の声をお届けします。

お話を聞いた方
中村友哉さんたまごの里農園(愛知県常滑市)

愛知県常滑市で養鶏場を営む中村さん。名古屋コーチンを含め鶏を約17,000羽飼育しておられましたが、2025年1月11日、発生した鳥インフルエンザによって全羽殺処分対象となりました。
現在は農園の再起を目指して精力的に活動をされています。

名古屋コーチンを育てる難しさ・養鶏家の日常

名古屋コーチンは純系種といって、同一の品種のみで交配されてきた鶏です。
それゆえの魅力も多いですが、一方でとても繊細な部分があります。例えば、卵を産む数が外国産の鶏に比べて少なかったり、卵が体の中から出てこずに死んでしまうという事故が起きたり、というようなことです。
日本で、食用として流通している純系の鶏は名古屋コーチンだけですから、他の鶏と比較すると手間がかかる部分もあると思います。しかし、妻やパートさんと力を合わせてなんとかここまでやってきました。

当農園は日本一小さい養鶏場と言っても過言ではないかもしれません。しかし、手間暇かけて大切に鶏を育ててきました。私たちはなるべく機械化をせず、手集卵にこだわっています。それは手集卵が、鶏の日々の変化に気づきやすくさせてくれるからです。

私たちはひとつひとつ卵を手で拾うことで大きさや形、色を感覚で覚えてきました。それは業務上の学びとなるだけでなく、繊細な名古屋コーチンのわずかな変化にも気づきやすいという利点があります。その小さなこだわりが、長年農園を続けてこられた秘訣なのかもしれません。

2025年1月に鶏舎を襲った、鳥インフルエンザの猛威

2025年1月11日のことでした。農場の一角で、一部の鶏が同じ場所で死んでいるのを確認しました。ぐったりしている鶏も複数見られました。最初に死亡を確認したのは8~10羽です。
これは鳥インフルエンザだと確信しました。数日前に隣の鶏舎で鳥インフルエンザが確認されていたからです。当園は2025年になって6例目の鳥インフルエンザの感染確認となりました。

2025年は鳥インフルエンザが猛威を振るっており、当園が感染を確認される以前に殺処分の対象となった鶏が、既に5つの農場で57万羽を超えていました。ニワトリでは県内過去最多の猛威です。防ぎようのない事態でした。

鶏たちの死亡を確認してすぐに、家畜保健衛生所へ連絡しました。朝の8:30のことです。速やかに陽性が確認され、その日のうちに県によって殺処分となりました。あっという間のことでした。

「なぜ全部殺さねばならないのか」と涙を流す従業員もいました。手塩にかけて育ててきた鶏たちですから、情が移っています。しかしほかの養鶏場への感染や、人間への感染を何としても防がなければなりません。頭ではわかっていますが、ショックでした。「これは経営が成り立つんかな」と、頭が真っ白になりました。

「美味しいコーチンの復活を待っています」周囲の人の励ましに、再起を誓う。

からっぽの鶏舎の中で、先の見えない気持ちになりました。希少な名古屋コーチンと言ってもビジネスですから、僕がダメになったら他から買われるだろうという不安がありました。
しかし現実は違いました。たくさんの方々から「中村さん、再開を待ってる。」というお声を頂きました。応援のお手紙も頂きました。「いつも美味しい卵をありがとう。少しでも元気が出ますように。」と。涙が止まらなくなりました。ありがたい、支えられていると思いましたね。
それとともに、ゼロからのスタートを切る勇気が湧いてきました。

幸いにも日本には鳥インフルエンザの発生に伴う生産者支援制度があります。こちらを利用させていただきながら、一歩一歩進んでいく、というのが現状の私たちです。

悲しい出来事も、これまで前のめりになっていた経営の足元を見直す機会ととらえました。

戦後、日本が復旧したように私たちもゼロからのリスタートです。今後はコーチンの比率を高めて、さらに喜んでいただける農園を作りたいと思っています。

中村さんのもとへ届いたプレゼントや手紙

中村さんのもとへ届いたプレゼントや手紙

愛知から世界へ。世界から愛される日本の味として、これからもコーチンを育て続けたい。

名古屋コーチンの用途は様々にありますが、特に引き合いが多いのはラーメン業界です。ラーメンの繊細な鶏ガラスープを作るのに、名古屋コーチンの親鶏は欠かせない食材として大変人気があります。臭みが少なく、コクと旨みが強い。それでいてさっぱりとしているため本当に美味しいスープができるのです。

また、スイーツ業界からも多くの需要を頂いています。名古屋コーチンの卵は黄身が大きく白身が少ない。だから濃厚な「たまごの味」が出せるんです。

近隣の方からは「卵かけご飯が一番おいしい!」なんて嬉しい声も頂きます。本当に卵は生で食べても濃厚で美味しいですよ。もちろんお肉も濃厚なコクと旨みがあって旨い。これが本来の「日本の鶏だ、日本のたまごだ」と思うんです。ぜひ、多くの方々に味わっていただきたいですね。

名古屋コーチンは育てるのに少々手間がかかりますから、お値段も一般の卵に比べれば高額になります。そのため引き合いは関東方面が多いのが現状です。でも、名古屋コーチンを使った美味しいラーメンに行列ができて、それも日本だけでなく世界からお客さんが来る、と聞くと、やはり「美味しいは人類共通」なのだなと思います。日本の味が世界に羽ばたくと思うと嬉しいですね。


まとめ | 名古屋コーチンへの愛が、養鶏を支えている

いかがでしたでしょうか。名古屋コーチンは味が良く、希少である一方で繊細で育て方が難しい面があります。また他の鶏と同じように、鳥インフルエンザにかかってしまうと全羽殺処分対象となってしまうというリスクがあります。様々なリスクと戦いながら、養鶏家は名古屋コーチンを大切に育てています。その背景には、名古屋コーチンの味を愛し食べてくれるお客様の存在があります。
名古屋コーチンを今後も継承していくためには、名古屋コーチンの味をより多くの方々に知ってもらう努力が必要です。

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